ときおり 俳句
2020年の俳句



   塩尻市俳句講座 十二月 「雪」




小さき手としばし遊べり雪の片

浅間山吐く煙は西へ神の旅

読み聞かす絵本おそろし雪月夜



   塩尻市俳句講座 十一月 「霜柱」




朝の陽の色あつめたり霜柱

鬼女めくももみづる森の静けさよ

かうしてはをれぬと言ふも日向ぼこ
   


   塩尻市俳句講座 十月 「蟷螂」




いきなりの喧嘩挑まる青蟷螂

猫の髭色なき風を読めりけり

五七五を旅の友とす鰯雲



   塩尻市俳句講座 九月 「秋暑」




巣ごもりのテレビニュースや秋暑し

かなかなの谷は暗きに沈みをり

Tシャツの残暑張り付く背中かな



   塩尻市俳句講座 八月 「天の川」




瞬きは届かぬメール天の川

夏帽子ピースサインのはにかみぬ

炎天の動かぬ風の重さかな



   塩尻市俳句講座 七月 「あやめ」



野仏の留守をまもれり花あやめ

若夏の平和の詩や時止む

ウイルスに人の試される梅雨晴間



     六月



五七五を旅の友とす春の雲


     五月 東京マラソン二〇二〇



駆け抜けるビルの谷間や春の夢



   塩尻市俳句講座 四月 「入学」



分校の最後の一人入学す

春光の起こせし土に縺れけり

修羅の世に叡智授けよ春の雷



   塩尻市俳句講座 三月 「雛」



無限なる空の深さや流し雛

春の瀬はひかり戯るところかな

かさこそと遊ぶ気配や真夜の雛




   塩尻市俳句講座 二月 「氷柱」



茅葺の静けき重み軒氷柱

大いなる大気の力滝凍つる

遊ぶ手に柔らかき猫春隣



   塩尻市俳句講座 一月 「除夜の鐘」



ほろ酔ひの湯舟に溶けぬ除夜の鐘

また一つ昭和遠のく初御空

冬桜仮設住まいの黙深し
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